本会整備の庭園
摩訶耶寺庭園(浜松市)の整備修復終わる
摩訶耶寺庭園(鎌倉前期作庭)は、数ある古庭園の中でも、その石組美と、全庭の空間構成において、最も傑出した名園の一つです。
1968年6月に荒れ果てた本庭が発見され、慎重な整備を行って世に出したのですが、当初の造形を尊重し、意図的な改修は一切行っておりません。その石組には平安時代の『作庭記』に記載されている石組造形がよく残されております。
伊勢神宮の神領であった当地の特色が、このような名園を生み出したことは間違いありません。
しかし、近年の気候変動による豪雨や、地下水の池への流入が顕著になってきたのが原因で、石組の一部に変動が見られるようになりました。
このたび静岡県と摩訶耶寺から修復要請があり、本年4月から6月にかけてその整備作業が行われ、特色ある石組も無事復原されました。
発見当初から、毎年のように撮影を続けてきた吉河会長による細部写真を参考とし、慎重な作業が進められましたので、驚くような古庭園の美景が再現されました。
『庭研』421号(2021年秋号)を「摩訶耶寺庭園修復特集号」(限定150部)として発行致しましたので、詳しくはそちらをお読み頂ければ嬉しく思います。
摩 訶 耶 寺 庭 園 正 面 築 山 の 優 れ た 石 組 造 形
修 復 中 の 池 泉 景 観 ( 2 0 2 1 . 4 . 2 3 金 子 会 員 撮 影 )