中國園林情報
蘇州状元博物館と小園林
この博物館は蘇州城内の鈕家巷(ちゅうかこう)に2014年11月に開館されたもので、中国の名高い官吏登用試験「科挙」関連の史料が展示されています。「状元」というのは、科挙において最高の成績をおさめ、皇帝からその年の第1位と認められた人物を指します。この博物館が貴重なのは、その建物自体が蘇州の貴重建造物で、蘇州状元中でも特に名高く、4代の皇帝に仕えた名臣潘世恩(はんせおん/1769~1854)の邸宅の一部を展示室にしているからです。中でも書斎であった「紗帽庁」は、小規模ながら清代を代表する繊細な名建築としてよく知られています。
本館にはいかにも蘇州らしく「紗帽庁」とその北の「后庁」の間に小庭が造られました(下写真)。美しい鋪地が展開するその佇まいは、いかにも蘇州らしい洒落た小園林になっています。蘇州を尋ねた時には、館内の貴重な展示物と共に是非一見してほしいと思います。なお、本館は無料公開であるのも嬉しいことです。
掲載日:2016.05.16