中國園林情報
「園林建築」の世界〔4〕/ 「洞門」
中国園林は、基本的に園内を巡り歩く回遊式庭園が基本と言えるでしょう。園内には必ず各種の園林建築がありますので、そこを出入りしながら、回遊路を進み、景の変化を楽しむことになります。その回遊路には「洞門」という独特な門が作られていることも多く、そのデザインも実に多種多様です。最も例の多い円形の洞門(円洞門)にしても、様々な形式があるのです。その他の意匠にも風雅なものが多く、海棠形、瓢箪形、花瓶型、八角形、クロバー形、三日月形、土瓶形、炎形、等、多くの実例があって実に効果的です。
この「洞門」には原則として扉を用いないのが大きな特色とされ、背後の景を切り取って見せる効果があることも、重要な美の要素になっています。広い中国では「洞門」にかなり地方色も見らますが、特に蘇州園林の「洞門」は、その意匠が特に秀逸であり、園内を巡る時の大きな楽しみともなっています。ここでは八点の実例写真を紹介致します。
拙政園 (蘇州)/円洞門
藝圃(蘇州)/円洞門二種
獅子林 (蘇州)/海棠形(かいどうがた)洞門
滄浪亭 (蘇州)/瓢箪形(ひょうたんがた)洞門
留園 (蘇州)/八角形洞門
虹飲山房 (蘇州)/クロバー形洞門
嘉蔭堂 (蘇州)/三日月形洞門
秋霞圃 (上海)/土瓶形(どびんがた)洞門
掲載日:2024.07.26