中國園林情報

「遂園(すいえん)」滝のある園林

蘇州市城内のほぼ中央西部に景徳路があり、その南に蘇州児童医院の大きな建物が見える。この病院内に「遂園」はあるのだが、この園に気付く人は案外少ない。本園は清代末期の作で、役人慕天顏という人がこの地を入手し作庭したものであった。一名を「慕家花園」とも言う。清末の洋館が今も残されており、建物と池泉の間に大きく太湖石を主体とした築山がある。洞窟の景も一つの特色となっている。しかし何と言っても珍しいのは、西部に高さと幅のある滝が落とされていることで、蘇州園林としては非常に貴重である。蘇州では近年作庭された公園には滝が見られるが、古典的な園林にはほとんど例がない。それは城内がほぼ平地だからで、清末になるとやっとポンプアップにより滝が落とせたのである。愚見では「獅子林」の数段の滝くらいしか思い浮かばない。他に六角亭や、旱船もあるので、楽しめる園と言えよう。なお景徳路を隔てた北側に、名高い「環秀山荘」があるのも嬉しい。

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「遂園」築山と鋪地の景観

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「遂園」水音を響かせる滝は稀少な例

掲載日:2020.09.04


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